雑誌のはじまり
久しぶりに雑誌を買った。
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/13
- メディア: 雑誌
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創刊号は23万部を発行。
他の20万部発行クラスの雑誌だと、『MEN'S NON・NO』『Zipper』『anan』など。
TVCMもよく見かけるし、車内広告も力が入っている。
知り合いから教えてもらったのだが、講談社の社内では、こんなところにも、あんなところにも、王王王王王王。全面的に若き日の王状態が展開されていたようで、そんなやけくそなプロモーションも嬉しく思えた。
雑誌不況の中で、こういった気合の入った大型誌の登場は、雑誌好きとして素直に喜びたい。
応援の気持ちもこめて、コンビニで陳列されているそれを手にとってみた。
・・・重い。
雑誌ってこんなに重かったっけ。
『KING』の表紙はそんな私に語りかける。
いまこそ男は、堂々と王(キング)になれ!
なるほど。
キングたるもの、この重さにへこたれてはならない。
というメッセージなわけだきっと。
私が雑誌にはまっていたのは、大学生のころ。
一番好きだった雑誌はこれ。
文藝春秋が発行してした『Title』。捨てずにとっていた。
関係ないけど井川遥。
とことんワンテーマに絞ったページ構成。
142ページ中62ページが特集(2001年4月号)という大胆さ。(もちろん、この142ページには広告ページが含まれている)
月ごとにテーマは変わるわけだから、
もはや、何の雑誌なのかと。
でも、月ごとに組まれる特集は、
「そうそう! それが気になっていた!」
といった潜在していた興味を喚起するに的確な内容であったし、
私の周りの同年代にも、『Title』読者が何人か居たので、
確実に「20代男性向け雑誌」ではあったと思う。
そんな『Title』に心を鷲掴みにされ、
毎号毎号発売を心待ちにしていた。
あの頃、私にとって、雑誌は確実に教科書であった。
しかし、『Title』はリニューアルしてしまった。
メーンターゲットが明らかに変わってしまった。
タイトルが大文字に変わってしまったリニューアル創刊号を、
私は願うようにめくっていたのを思い出した。
当然のことながら、私が願っていたような空気は、そこには無かった。
でも、大文字の『TITLE』はリニューアルしてから、現在も発行されている。
リニューアルは正解であったのだ。
雑誌というメディアの在り方は変わったと思う。
情報を得るためだけなら、インターネットがある。
面白い言論が、インターネットにはある。
その雑誌にしかない空気を如何に醸せるか、
これがいい!といった方向を如何に自信満々に指し示せるか、
そしてそれが新しい消費とリンクしているのが、
雑誌がインターネットに対抗できる在り方なんじゃないかなと思う。
私はターゲットから外れてしまったが、『TITLE』はうまくいっていると思う。
『LEON』の成功は、いまさら言うまでもないが、「ちょいワル」などの新しい価値観、世界観を提示出来たのが大きい。
その世界観に、高額商品の広告需要が乗っかかる。
「若いことが損と思っている20代、30代前半の男性に、面白いことがいっぱいあるということを伝えたい」
「女性誌に独占されてしまった食や快楽の情報を、フリーター、ニートとレッテルされている世代の男性側に取り戻したい」
『KING』編集長 原田隆氏
(9月20日 読売新聞夕刊より)
『KING』を読んでみた。
なるほど。重さの原因はこれか。
総合誌ということでページ数が多い。
350ページ。
そこに多岐に渡る情報が載る。
グラビアや、ファッション情報、明らかに『Tokyo graffiti』なものまで。
コラムもなかなか面白い。
これで600円ならかなりお得ではないか、
と今になってはそう思うのですが、
読み終わってすぐ感じたのは、疲労感。
正直疲れました。
多分、テーマは「男らしさ」。
この暑苦しさがまたこってりしていて、疲れてくる。
「20代、30代前半の男性」をターゲットにしているということだが。
そこは、フリーペーパーのビジネスモデルが確立された最強の紙媒体『R25』の土俵なわけで。
ワクワクするような新しい価値観や世界観を提示してくれないと、
情報の羅列ではなく、新しい価値観を構成する要素を、
独自の見せ方、切り口、編集で提示してくれないと、
もはや、買いたいとは思わない。
IT革命と雑誌の命運がセットで語られる風潮はなんとかならんかね。そんな単純なもんじゃないと思うよ、雑誌の底力は。少なくとも『Title』はIT特集もやれば、雑誌特集もやるといった、雑誌が本来持つ神出鬼没性を大事にしたい。来月は美少女だよ。
(『Title』2001年4月号 From Editorsより)
『KING』ならずとも。
一読者として。
「20代、30代前半の男性」をまるごと巻き込むような、
そんな雑誌の底力。
期待しています。