Iのはじまり

ile de la Cite, ile St-Louis

シテ島、サンルイ島。
パリのちょうど真ん中を流れるセーヌ川の中洲にあるシテ島は、パリの発祥の地と呼ばれ、ノートルダム大聖堂やサント・シャペルなどの歴史的建造物が立ち並び、観光地になっている。そして、シテ島の東に並ぶサンルイ島は、歴史的建造物が多いのにもかかわらず、住宅街となっている。この島には昔、ジャン=ジャック・ルソーなどの哲学者、芸術家などが住んでいたことから、今なお、この街に住むことは一種のステータスと化している。



パリの街は東京23区に似ている。
形も似ているし、鉄道(地下鉄メトロと郊外高速鉄道RER線。外を走る鉄道は見られない。おそらく景観を損ねるからという理由だろう)の整備網が張り巡らされているところも似ている。オレはパリ市内の東の外れのホテルに滞在していたのだが、パリの西にあるブーローニュの森を訪れたときに1時間ぐらいかかったから、正確なことはわからないが、大きさも似ているのかもしれない。
パリには、真ん中を横切るようにセーヌ川が流れている。セーヌ川は途中、二股に別れ、また一つにまとまって流れている。その中州にあるのが、シテ島、サンルイ島。
さて。
このシテ島、サンルイ島。似ているのだ。いや、もしかしたら、そんなに形は似てないかもしれないが、川と土地の相対関係、そこが似ているのだ。



下町、北千住。
荒川と隅田川に挟まれた北千住の街に、シテ島、サンルイ島のそれはよく似ている。
パリの代名詞存在であるセーヌ川と関東を代表するダブル河川に挟まれた、この土地たちの類似にオレは嬉しくなった。
「日本のシテ島」こと北千住。
今日から、北千住のことを呼ぶときはこの冠をつけて頂きたい。
もしくは「パリの風を感じる街、北千住」でもいい。
「日本のノートルダム大聖堂」こと、大きな吹き抜けのある北千住丸井も出来たことだし。
我が地元は今、東京の人たちの「所詮、足立区」といった蔑視などものともせず、一足先に世界を相手にしたのだ。世界のシテ島と肩を並べたのだ。



王と長島。
曙と貴乃花
千葉と茨城。



えー、今日からー、「北千住とシテ島」が仲間入りしましたので、みんな、仲良くするよーにー。「北千住とシテ島」ちょっと前出て、挨拶しろ。
みなさん、はじめまして。河川に挟まれたもの同士、頑張っていきましょう。
と、こんな感じでオレの脳内でライバルになりました。成長にはライバルが必要だと思う。例え、シテ島が北千住を無視しても、オレ一人、広大な荒川の先、シテ島を見る。
そんな妄想が、明日の地元へのせめてもの希望だ。



サンルイ島でみかけた行列の先には、ジェラートが売っていて、オレはバニラクリームを買った。並んだ甲斐があったと思わせる美味さ。
ふと、北千住で言えば、槍かけ団子がこのジェラートのライバルになるのだろう、と思った。



実際に訪れたその土地で、妄想と現実は結構な歩み寄りをみせた。
北千住とシテ島サンルイ島が決定的に違う点は「評価」なのだが、意外に北千住は、世界のシテ島サンルイ島を相手に頑張れていた。北千住は「評価」が低い。まあ、「評価」なんてどうでもいいのだが、でも、悪く言われることもない。友達が地元に来ても、肩身狭くせずに済むようなポテンシャルはある。
そのポテンシャルを広めることが、地元住人には必要だ。



丸井の吹き抜けから見える大型街頭ビジョンをステンドグラスに見たてた北千住style。
そんな下町の粋をオレは広報しようと思うんだ。