一人称のはじまり

ブログを書いているといつも悩むことがある。一人称の使いわけ、そこで困っている。オレは一応、「オレ」という言葉を使ってはいるのだが、「オレ」という言葉以外に、「僕」という一人称でポエムしたいときもあれば、「私」という一人称で文学を気取ってみたいときもある。なんなら「私」を「わたくし」とさえ、読んで貰いたいと思っているオレが居たりもするのだ。
「拙者」という一人称は「愚息」に繋がる枕詞でしかないと信じているし、「おいどん」は笑いを取ろうとしているのに、絶対取れない予感というか確信から使わない。
「小生」に到っては、『なんで自分のことを「小生」というのだろう?』という読み手の疑問に、ブログで言いたいテーマが負ける気がしてならない。その意味では「我輩」なんかも使いたくない。オレは猫ではないのだ。
「小生」とか「我輩」とかを使う20代なんて嫌だ。あれか。『「小生」は渋谷のクラブで朝まで踊り続けたので、正直超だるい』いや、語尾は『だるいのである』だな。だな、じゃない。『昨日、「小生」はハンバーグを食べて、クレープを食べたのだが」という書き出しで、ブログを始めなければならないのか。ってか、ハンバーグにクレープは、明らかに食べ過ぎだ。というか、「小生」という生き方にハンバーグは合わない。そんなことに毎回毎回気をまわしたくはないのだ。めんどくさいのだ。だから、オレは「オレ」という一人称を使っている。



自分のことを「俺」とか「僕」という女子が居る。オレはそんな一人称を使う女子が好きだ。オレはどんどんその子に興味を示してしまう。女子一人称のスタンダードは「私」だ。女子の一人称は男子の選択詞よりもずっと絞られている。それを「俺」とか「僕」とか言う女子。その理由をオレは知りたい。
ただのオタクちゃんでした。
というオチも待っていなくはないのだが、オレは女子のオタクちゃんにも興味があるので、どう転ぼうとも、悪くはない。



一人称が決まっている。
それだけでその人の軸がしっかりしているように思える。
オレが「オレ」を使う理由なんて、めんどくさいから、だけのものだ。
「オレ」を使う人の、「オレ」を使う理由を聞いてみたい。
「だってオレはオレだから」
いっそ、そんな答えまで聞いてみたい。
大した理由は無いかもしれない。
一人称は意志である。
そう話を広げてみても、日々は意志だけで動いているわけでないし。
まあ、なんというか。
そんなあいまいな部分に一人称はあるのかもしれない。と思った。



一人称は血液型みたいなもんだ。
大して当てにならない気休めの指針に過ぎない。



なんとなくオレ。
限りなく僕に近いオレ。
そんな曖昧さ。
よく言えば自由で、悪く言えば不明確で。
でも、それでいいのだ、と思う。
とにかく、自分を一人称に当てはめて行こうってのは、なんか間違っている気がする。結局、オレは「オレ」を使っていく。書き始めから表面上の進展はありません。でも、オレは一人称のことで、当分考えなくていいなと思うのでした。一人称を考えた休日は無駄では無かったはずと思うのでした。
「めんどくさい」から、「そんなもんだ」へ。
オレの「オレ」は、当分ぶれないと思うのでした。