油性のはじまり

今週末、旅行に行く。しかも、気の置けぬ友人3人と一緒に行く。
「しかも」などという接続詞を使う理由にはわけがある。
オレ、友人と旅行に行くの久しぶりなのだ。友人と旅行に行った記憶を思い出していたら、高校時代までさかのぼってしまった。そして、それは修学旅行だったので、悲しくなる。一昨年行った大阪は一人旅だったし、大学4年に行ったいわきは彼女と二人だった。同じく大学4年、バイト先の仲間で行ったのは西船橋で、それは片道1時間半で行ける隣の県で、しまいには池袋の漫画喫茶で寝たわけで、それはもはや旅行でもなんでもなく、ただ徹夜で遊んだということに過ぎない。
友達との旅行の記憶が、同世代と比較して著しく欠落している劣等感。



はて、友との旅行は何をすればいいのだろうか?
電気消して、好きな女子のことでも語ればいいのだろうか?
布団にダイブすればいいのだろうか?
友の寝顔に「肉」と書けばいいのだろうか?
旅のすべを知らないオレは、全てやりそうでこわい。
今回運転手をつとめるYさんは言う。
「オレは、旅行に行くと脱ぐんだよね」



残りの2人は、この春、社会人になる。
時間を合わせられるのは今時期を逃したら、多分もうやってこないだろう。
大人になっても、旅先でやることが結局下ネタレベルなら、安心だ。
安心したオレは大いに「肉」を書こうと思う。
思い出はいつか風化してしまうだろう。
だから油性ペンでいこうと思う。