荒野のはじまり

そう遠くない昔、オレにとっての東京ディズニーランドっていえば、それはそれはご馳走であったと思う。
TDLに行く。
それだけで、鼻の下は緩みっぱなし。それだけで、1時間ピンクレディーのUFOの振り付けを踊っていられたと思う。いや、踊っていた、オレは。その位のご馳走であった。



この前、シーの方に行ってきました。
過去形。
昔なら、焦燥感にも
『シーに行ってくるゼ! ふふんっ♪』
みたいなことを書いて盛り上がりスパーク!今夜はピリオドの向こうだゼ!だった。
だった。
だったんだ。
畜生。
なんて普通にシーに行くんだ、オレは。
なんで普通にシーに行くんだ、オレは。



『疲れ』が『面白さ』を越えてしまったんだ。
ここ2、3年、そこに疲れを感じている。
特別じゃない。
そう気付いて、しかし、そうじゃないはずそうじゃないはず、と奥底に追いやってごまかしてきた。しかし、この前、その気付きは確信になってしまった。




もうダメなんだろう。オレ達は。
なんで気付いてしまうのだろう。
行かなきゃよかった。
踏み越えなきゃよかった。
それで幸せだったのだ。オレは幸せだったのだ。



これから、君とは普通にやっていくのだろう。
ごく自然にやっていくのだろう。
当り障りのない今をやり過ごしていくのだろう。



失った世界はあまりに大きい。
唯一と信じていたものが、
そうじゃない、
と知った瞬間が君にはあるかい?



新たな世界を構築していくには、
無駄に世界の広大さを知ってしまったオレが居るよ。
果てしない途方さに眩暈がする。
いっそのこと、世界をとらえられない眩暈がこのまま続けばいいんだ。
オレはきっと救えないから、また探し出して、そして、喪失感をまた味わうんだろう。
いいじゃないか眩暈。
まどろむ世界に期待。
もしくは、
UFOで、宇宙まで連れ去ってください。
振り付けUFOのトランスで連れて行ってくださいよ、宇宙。
お願いしますよ。
ほんと、お願いします。