ソファーベットのはじまり

オレの部屋にソファーベットがきました。
納豆くさいのですが、ま、いいでしょう。
とにかく、ソファーなんだか、ベットなんだか、その青は、オレの6畳の1/4を占領しているのです。
男前はソファーにゆったり腰掛ける。
男前は布団では寝ない。
その2つの男前が、今、オレの部屋にはあります。
納豆くさいですが。



オレは、夢想する。
男前のオレは、きっと友を部屋に招くことでしょう。



「……お前の部屋、納豆くさいな」
男前のオレは、ソファーベットに鼻を近づけ、否定するでしょう。
「コレが臭いんだって! ほら! かいでみ!」
友はエロ本を見つけ、オレの話など聞いてません。
そして、一通り目を通したあと、部屋を見渡し、
「ふーん」
と、言うと思います。
何が「ふーん」だ、コラ! てめえの部屋は、何か。バロックか。6畳のバロックか。えっ? 8畳。す、すごいじゃねえか。プロジェクターあんの? マジで? スピーカーが5台! …いいなあ。いや! 男前は退かない媚びない省みないのだ。テメエの部屋は、ネギくせえんだろうが、このネギ野郎。鴨ネギ野郎がっ! 押入れで農園でも開いてろってーの。えっ? ハーブやってます? 小さいけど、ガーデニングやってます? 



……今度、お邪魔してもいいですか?



plan-4「男前は、さりげない」


急遽、オレの部屋の4番を張ることになった、新外国人ソファーベットは納豆臭いです。本人は気付いてません。我慢するのが、男前だと思います。友達の好感度打率も2割に乗ればいいでしょう。球団経営が困難になるのは必至です。しかし、そこに至っても、オレは耐え忍び、そのにおいで御飯を食べればいいので、まだまだ身売りは先の話だと思います。そして、オレがおかず無しで御飯を食べているのに、ソファーベットが「オオ、ソレ、ナニシテールノ?」と気付いたら、オレは黙って、あいつに牛乳をかけてやろうと思います。納豆のにおいは牛乳で消えるとどこかの本で読んだことがあります。そしたら、なんらかの植物が強制的に育ち、オレは、期せずしてガーデニングを手に入れることでしょう。その長期的展望。オレは見限らない。納豆臭かったら、牛乳かければいいじゃない。それでいいじゃない。さりげない優しさをかけてあげればいいじゃない。



たぶん。
そのさりげなさ。
男前。