オシャレのはじまり

前を歩いていた男のパンツは水色の丈くるぶしのギリギリパンツで、
淡いオレンジのチェックのシャツで、ギリギリコーディネイトで、
ハットがまた、淡いオレンジのストライプで、ちょっと小さめで、頭から浮いていて、ギリギリ犯罪でした。
しかし、立ち振る舞いが堂々としていたので、それはそれは大層な男前に見えました。
堂々としすぎて、お尻がプリプリと横揺れしてましたが、それを踏まえても、なお一層男前で御座いました。



ああ、そうか。
男前もベクトルなのだな、と思いました。
ポールスミスはオシャレ。
ゴルチエもオシャレ。
でも、オレの目指す男前はきっと、
「ふんどし一丁みたいなモノ」
だと思いました。
思いっきりマイナススタートで、巻き返そうがマイナスなのだけど、もしかしたら、巻き返すどころか、マイナスを更に積み重ねているのかもしれないのだけれど、巻き返しの様がぶっどい線であれば、その様は男前なんだなと思いました。
オレはその時、そんな男前ベクトル(a.k.a.ふんどしベクトル)への期待が漲っているあの店へ思いを馳せてました。



ファッションセンターしまむら
http://www.shimamura.gr.jp/frame_aboutus_shimamura.htm



ユニクロスタートでも取り戻せないオシャレの遅れが、
このファッションセンターにはあると思います。
なんせファッションがセンターでしまむらでひらがなで日本です。
なんでファッションなのに、センターでしまむらでひらがなで日本なんだ。
遅れを期待せずにはいられない。
このセンターから、学び、スタートし、巻き返し、巻き返せず、ジタバタする。
センター試験
センター試験しまむら
偏差値30からの現役合格を目指す行為、それこそが男前の生き様だと思うのです。
つまり、
『しまむラー』
これが男前への第一歩だと思うのです。



というわけで、ファッションセンターしまむらに行ってきました。



……あれ? ファッションがセンターでしまむらでひらがなで日本じゃないの?
オレの期待は裏切られました。ファッションが堂々とセンターしてました。しかも、『しまむら』の名が示す庶民的感覚がお値段にも反映されていてニンマリです。雰囲気は地方のイトーヨーカ堂の如くで、大変よろしい。穴場偏差値でいうなら60ぐらいはあるのではないだろうか? オシャレが差異化のゲームであるなら、しまむらを用いての戯れは相当イイセンスではないのだろうか? と思いました。
2着買いました。
1400円。
いや、ほんとに、2着で1400円だから。



精神性ばかりを結果的には追求していた男前計画に、物質的アプローチを入れようと、大いなる期待を持って投入した大型ルーキー「ファッションセンターしまむら」でしたが、なんのひねりもない、言葉どおりの、ファッションがセンターでした。



plan-3「男前は、しまむラーを目指さない」



今のうちは「しまむラー」であることを差異として戯れていられる。
しかし、いずれ「しまむラー」が普通になる日が来て、
ベクトルなんか何にも無くなってしまうのだろう。
そんな未来への確かな予感がありました。
そして。
あの日、日本の男前達は、ユニクロのフリースを着ていなかったはずだ。
だから、今は誰も目指してない「しまむラー」において、
オレが早すぎる「脱しまむラー宣言」をしているわけは、
圧倒的な予見力でもって、今のうちから男前度に差をつけておきたいということなのは言うまでもない。言ってるけど。
あと、オレのクローゼットの中で、今一番の勝負服が「しまむら」に取って代わっているので、今までのオレのセンスはなんだったんだろうか? と思います。