システムのはじまり

システムはあきらめにも似ていると思う。


「要素の単純総和は全体と等しくない」
そんなあきらめからもたらされた規律と統制。


正解の判断基準が、クオリティーだけの問題であるのなら、そんなに複雑な話にはならない。
ものすごく時間のかかることなのかもしれないが、じっくりじっくり考えることで、ある程度正解に近づくことができる。
しかし、正解の判断基準はそれだけではない。
時間の制約。予算の制約。
そこをクリアする。
それもまた正解なのだ。
そんな状況に(企業内)システムが必要とされる背景がある。


システムが退屈だと思っていたのは、価値観の多様性を認められなかったからだと思った。
システムをつくった人は、人のことをよくみているなあ、と思う。
人はまるまる自由だったら、とことんだらしなくなれる。
そんな生き物だと、彼は知っていたのだろう。
私の要素にだらしなさがたっぷりあることを、
彼はとっくのとうに見抜いていた。


システムはあきらめに似ている。
それは、どうにもならないあきらめで、でも、ずいぶんと前向きなあきらめだと思った。
システムは思っているより、ずっとやさしい。