水風呂のはじまり

大人になったなぁ。と思うことが最近増えた。
カラオケではしゃぐようになった。
休みの日は昼間から酒を呑むようになった。
一人で知らないお店に入り、昼飯を食べるようになった。
随分と大人になったもんだ。と私は思う。
いや、実際は大人を通り過ぎて、随分と「おっさん」なのかも知れないと思ったりもするのだが、そのへんはいっさい無視することにして、私は大人というものを満喫していているのである。
そんな大人な私の、最近の愉しみ。
それは、水風呂。


小学校の頃、友達と銭湯に行っても理解出来なったのが、水風呂だった。
暖まりに来ているのに、なぜ水なんかに浸かるのだろうか。
大人は頭がおかしいのではないだろうか。
なぜ。なぜなんだ。なぜあんなにいっぱい水を張るのだろうか。銭湯のおっちゃんはズルをしているのではないだろうか。ケチだ。ケチってないで暖めろ。サウナを出た隣に水風呂を置いたって、だまされないぞ僕は。インチキだ。インチキ。


まっすぐだった小学生の私。0か1でしか物事を判断できなかった私。


そんな頃を懐かしむように、ジムでストイックな汗を流した私はお風呂で暖まった後に、水風呂にゆっくり浸かる。
「うわおえー」
よくわからない音を発して、水風呂に浸かる。


アツアツのお風呂があるから、サムサムの水風呂に浸かるのだ。
サムサムの水風呂だけあったとしたら、嫌だよ。
んで、アツアツのお風呂だけあってもつまらないのだ。


大人はそんな面白いことを知っている。
私もそんな小気味良い大人になりたいと思って、水風呂を嗜む。


でも、私は今、鼻水を啜っていている。
うん。
風邪ひいたと思う。
そういえば、今日の水風呂は異常に冷たかった。
んで、私はその冷たさを、大人の道の厳しさなのだと、勝手に置き換えていた。
大人への道は思っている異常にけわしい。
お気楽に捉えていたら、すぐ足元を救われる大人への道。


だから、まずは出来るところから無理せずはじめればいいと思った。


おつかれサマーランド


手堅くオヤジギャクからものにしていこうと思う。
いや、思わない。