発信基地のはじまり

渋谷が「情報発信基地」なら、オレは「AV発信基地」になりたいと思う男子です。小学生の頃に大人になったらやりたいことは、「サラミを死ぬ程食べる」と「ギルガメッシュナイトを死ぬ程見る」でありました。サラミは味覚の変化とともどーでもよくなっちゃったのですが、その一方で、悶々とした性欲は、どーでもよくなくない位、すくすくと性欲「先輩」に成長したのでありました。
先輩の衝動に逆らえなくなってきました。オレの都合はいつでも無視で、先輩は「今、おめぇの家の前に居るから、出てこいや」なのです。でも、先輩はオレが予想だにしない勇気を与えてくれます。「マジ、やばくないですか?」「オレにまかせろ!」「……先輩」 オレの無謀の後ろにはいつも先輩が居てくれます。オレはそんな先輩についていこうと思うのです。しかし、残念なことに、そんな逞しい「先輩」になる前に、ギルガメッシュナイトは終了してしまったのでした。
先輩とオレは泣きました。先輩とオレが切磋琢磨すべき良きライバルが引っ越してしまった感覚でした。……勝ち逃げかよ。大人の都合でオレ達は、いつも泣きを見るのです。
ギルガメは伝説となり、そして、オレは大人になりました。



オレは先輩を泣かさない。



そう決意して、今に至ります。

先日家にY君とIが遊びに来ました。Y君は金八先生、Iはビックイシュー、オレはパソコン。全然心のふれあいの無い空間。君達は何しに来た?
答えは決まっているのだ。
AVでしょ?



オレは友の先輩も泣かさない。



が。
その決意とは裏腹に、手持ちが無い。パッケージがあるけど、中身が無い。Y君はそれを知って、ベットの上でジタバタしていた。絵に描いたようなジタバタっぷりだった。Y君はAVを借りに「遊び」という名の口実で家に来た、ということを隠すつもりが感じられない位、気持ちのいい悪態をついていた。
Y君とIが家を出た後、オレは必死に探した。
雑誌の隙間にDVDは紛れていた。



申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
結果的にはAVを渡せたのだが、君の先輩を少しでも泣かしたオレは、規模は違えど「ギルガメッシュ」終了と同じベクトルだ。
オレの先輩の為にはじめた、「マイギルガメッシュ」ですが、折角なら、同世代のあの絶望も癒していけたらいいと思っている。
だから、常に「AV発信基地」でなくてはならない。
AVで繋がる友情ほど熱いものはない。コレが自論だ。
あいつの部屋には「ギルガメ」がある。
その感動で、オレは今月も勝負AVです。



だから。
D面子は早く返すように。
AVは男子の共有財産です。