メガネのはじまり/be caused by

さて、そろそろ、オレは語らなくてはならないような気がしてきた。



メガネについて。



前からオレにはそれを語る理由があった。しかし、その理由が明確であるが故に、明確さから導き出される答えの真偽に慎重にならざるをえなかった。オレの語彙力はメガネがメガネたるメガネを正しく伝えることが出来るのであろうか? わからない。ただ、メガネ歴17年のメガネ哲学は語るべきだと思う。そんな出来事が、今日あった。それだけでパソコンに向かっている今。結論は見えてない。書けば見えてくるのだろうか? わからない。前置きはいい。さあ、はじめよう。



「あんたはコンタクトが似合わない」
オレの青春時代に、母親がオレに言った名言だ。それを聞いて、オレは泣いたよ。泣いて両手を振り回したよ、そしたら馬鹿みたいで、肩が痛くて、また泣いたんだよ。小学校時代から掛け始めたメガネに別れを告げるべく、せっせと働き溜めたバイト代。高校生には大金の5万円をコンタクトに注ぎ込めば、オレには新しい世界が開けるのだと疑わなかった時代に、母親は言ったのだ。
「あんたはコンタクトが似合わない」



今は、ロックスターですらメガネをかける時代だ。そんな時代に青春を送りたかった。そしたら、今ブログに精を出す日々が、違うところに精を出す日々に変わっていたかもしれない。しれなくない。
そんなオレの負の青春時代は何処にも精を出せず終わりを向かえ、オレは大人になりました。いわゆる、メガネとの和解時代が訪れます。メガネを一つのメガネとして認識する時代です。個性を尊重する時代です。そして、オレは新しいメガネを買いました。メガネらしいシルバーフレームのメガネを捨て、セルフレームのメガネを買いました。そんなふざけたメガネで就職活動もしました。メガネ屋も受けました。説明会を受けて記入するアンケート(名前必須)に「メガネに愛を感じました」と書き、最終まで残りました。結果的には落ちましたけど。
その時は既にメガネとは過去の清算を終え、新しい関係を築こうという意志があったと思う。メガネと共にある、オレの人生ビジョンが出来上がっていたと思う。
シャワーを浴びて、メガネを見失ったときがあった。オレは慌てた。Yちゃんに家まで来て貰い、探してもらった。オレは椅子に腰掛けて、その様子を見守るだけ。オレはメガネ無しでは何も出来ない人間です。と身にしみた出来事でした。そして、そんなメガネに厚き信頼を寄せた出来事でもありました。
時は流れ、メガネとの関係は円熟期を迎えます。切っても切り離せない。オレが居てメガネが居る。二人は一緒。会社に行くのも一緒。デートに行くにも一緒。コンビニに行くにも一緒。そう。メガネに人格を与え始めた時代。彼がオレの顔の上に乗ったまま、一緒に寝た事もありました。
だからこそ今、彼から離れるのは、相当な様相でないとありえない。
そして、今日、気付いた。
オレはジムの風呂でメガネを外さない。
男達のプライベートである風呂場ですら、オレは彼と行動を共にする。視力を失ったオレは、自分の体の部位を認識することすら困難なのだ。メガネを丁寧に洗った後で、オレは自分を洗う。礼を尽くす。ありがとうメガネ。



オシャレメガネが席巻している今、オレはメガネを掛けていて良かったと思う。そして、おぎやはぎがゴールデンで見れる状況に感謝。
そして、母。
貴方の言っていたことは、ほんとひどいと思うけど、いや、やっぱものすごくひどいよ。
貴方の言葉で、オレはアレの時、いつメガネを外していいか未だにわかりません。